おだやかに、スマートに。
― HSPの生き方模索 ―
こころ・カラダ

敏感すぎる人〔HSP〕の仕事観◇職場環境や人間関係に抱くストレス◇自己診断テストからみる特性

悩み

HSP〔Highly Sensitive Person〕とは?

普通の人が普通にこなせることを、普通にこなせない。普通の人が気にも留めないことが、気になって仕方がない。「普通の人」や「健常者」という言葉は、あまり好きではないですが、ここではあえて使わせてください。

感受性がとても強く、敏感な気質を持つ人を表すのに、『HSP (Highly Sensitive Person)』という言葉があります。この特性は全人口の15~20%にみられ、病気ではなく、「特性」という表現が正しいと言えます。HSPの自己診断テストのうち、仕事に関わるような特性を以下に挙げました。(あくまで「傾向」であり、全て当てはまるとは限りません)

【HSPセルフテスト】
・自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づく
・他人の気分に左右される
・明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
・時々神経が擦り切れたように感じ、一人になりたくなる。
・短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
・一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ
・ミスをしたり物を忘れたりしないよういつも気をつけている
・大きな音や雑然とした状況など強い刺激に悩まされる。
・仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる

出典元:The Highly Sensitive Person
 『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』より一部抜粋
 エレイン・N・アーロン著/冨田香里訳(ソフトバンククリエイティブ)

感受性とは本来、「感受性が豊か」とか「感受性が鋭い」とか、ポジティブな意味合いで使われることの多い言葉です。しかし、その感受性が強すぎるがゆえに、普通の人以上に、繊細で傷つきやすい一面があります。仕事はもちろん、プライベートにおいても、情報量が多くスピードが重視されがちな現代では、耐え難いほどのストレスを感じ取ってしまうことも珍しくありません。

仕事内容より、環境や人間関係が気になる

私自身、医療機関で診断を受けたわけではないですが、HSPの傾向があります。それに虚弱体質も合わさって、本音としては、フルタイムで働くだけで精一杯。そして、精一杯な分、人一倍働いてる気になって、お給料に満足がいかない。これだけの月給で、こんなにも身体を酷使するのは、割に合わない。そんな風に考えてしまいます。人並みの勤務時間でふらふらになってる自分が、情けなくも思えます。

職場環境や人間関係について、「仕事は仕事」と割り切ることができないのも、HSPの傾向としてあるようです。私自身の特性としては、

・社員の話し声や物音が気になって集中できない
・職場の照明がまぶしすぎる(でも言えない)
・仕事中に世間話をしてくる人にイラっとしてしまう
・さぼったり、手を抜いてるわけではないのに、上司の視線を感じたり、声を掛けられたりするだけで異常に緊張する
・一度に大量の仕事が来たり、クレームが出そうな状況になると、思考停止してしまう

このようなことが挙げられます。

コピーライターという職業柄、「こういう境遇もコピーのネタになるかな」という合理化で、なんとか心を保っていますが、長くは続けられないなとも思っています。

人一倍、敏感なだけ。働きたくないわけではない。

お客さんから感謝されると、やっぱり嬉しいです。社内で良い評価をもらうと、ちょっと鼻が高くなります。でも、心からの嬉しさはありません。お給料と同じ額のお金が、会社に属さずとも得られる方法があるなら、間違いなく辞めたい。

毎日、業務以外のいろんなことが気になって、集中することができない。誰かに見られている、評価されているという状況の中、パフォーマンスを上げて仕事をしていかなければならない。じんわりとではありますが、現状に対して強く苦痛を感じています。

会社という組織に唯一魅力を感じるとすれば、(ある程度の)安定。月給が決まっていて、毎月の収支がだいたい予測できる。厚生年金への加入、社会保険の一部負担。あとは、どこかに所属しているという安心感でしょうか。

それらを天秤にかけたとしても、一人を選びたくなってしまう。働きたくないわけではない。人間関係を一切遮断したいわけでもない。敏感であることが、仕事の効率を悪くしてしまっているという実感があるからこそ、障害となる要素をできるだけ取り除いて、自分らしく働きたいと思うわけです。

敏感だから、できること。感受性を活かせる環境へ

一方、HSPの自己診断テストには以下のような項目もあります。

・豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい
・美術や音楽に深く心動かされる

芸術家や作家にも、HSPの特性を持つ人が多いと言われています。

感受性の高さゆえに、生きづらさを感じる場面も多いですが、環境さえ整えば、人一倍成果を発揮できる可能性もあるわけです。私自身、そう信じて、自分の特性に折り合いをつけています。「おだやかで、スマート」な生活は、整った環境のイメージでもあります。

組織に所属していれば、何かしらの刺激があり、我慢が必要な場面もでてきます。HSPの特性を持つ人が、本来の自分の力を不自由なく発揮できるような、そんな環境を当たり前に選ぶことができるような社会を、強く望んでいます。

最後に、HSPに心当たりがある方にぜひ読んでほしい本をご紹介しておきます。 最初から最後まで頷きが止まらなかった、おすすめの一冊です。